上の写真は、釣りのリールに使う予定の新品のボールベアリングです。
シールドを取り外した状態で洗浄し、キレイになった状態です。
長期間リールを使っていると、異音がしたり巻心地が悪くなったりします。その原因が、ボールベアリングだったということも結構あります。
そんな時、自分で洗浄したりグリスを入れる方法を知っていると、安く修理できます。
また、今入っているのとは違うグリスを使いたい時も、必要な作業になります。
私はこの作業を自分でするようになってから、リールのメンテナンスの幅が広がったというか、楽しさを知ったような気がします。
どんな時にする作業なのか?
不調なベアリングの改善目的
異音が出たり回転の悪くなったベアリングの改善を目的として。新品と交換すればいいだけの話なのですが、1個交換するだけでそれなりのお金がかかってしまいます。節約のために、試してみる価値はあると思います。
メンテナンスとして
特に不具合はないけど、リールをバラしたついでに、洗浄とグリスの入れ直しをする場合。
グリスの入れ替え
新品のボールベアリングには、あらかじめグリスが入っています。リール用として売られているものであれば、そのまま使っても問題ないでしょう。しかし、汎用品の場合、リールに適したグリスが使われているのか分かりません。一旦洗浄してグリスを入れ直したほうがいいかもしれません。グリスにこだわりがあり、今入っているのとは違うグリスを使いたい人もいるでしょう。
ボールベアリングの洗浄とグリス入れ作業
ミネベアのシールド形ボールベアリングの作業です。
ツールを使ったやり方の記事もあります。
使っている道具 など
○ ピンセット
細かい作業なので必要
○ 先端の尖ったもの(針・ピン など)
スナップリングを取り外す
○ ガラスの小瓶
洗浄する容器
○ パーツクリーナー
グリスや汚れを落とす
○ エアダスター
水分を飛ばす
○ グリス
使いたいグリス
作業手順
シールドを取り外す
一般的にリールで使われるボールベアリングは、フタの付いたシールド形とかシールド付きと呼ばれるものです。外からの異物の侵入を防いだり、中にグリスを閉じ込めておくという役割があります。比較的長期間、メンテナンスしなくても使えるのでありがたいのですが、作業には邪魔なので取り外します。
まずは、先端の尖った針やピンなどで、シールドを止めているスナップリングを取り外します。スナップリングはアルファベットのCの形をしたバネのようなもので、外側に広がる力で固定されています。
針などでスナップリングの端を引っ掛け、内側に押し、ある程度出てきたら上に持ち上げるようにすると取り外せます。この時、スナップリングはバネのように飛んでいこうとするので、無くなさないよう指で押さえるなどして慎重に行います。
何度やっても外れない場合
外し方は間違っていないのに全然できない。針が全く引っ掛からないということがありました。
上の写真は、取り外したスナップリングの両端を拡大したものです。よく見てみると、両端は斜めにカットされています。この向きで取り付けられていた場合、左側はいくらやっても引っ掛からないと思います。右側であれば簡単に引っ掛けることができそうです。
拡大写真を見れば判断できますが、実物は小さ過ぎて全く分かりません。何度やっても引っ掛からない場合は、反対側を試すようにします。
シールドを外した状態の確認
左から順番に
- 本体
- スナップリング x 2
- シールド(裏返しに置いてる) x 2
洗浄作業(脱脂)
ガラス瓶にパーツクリーナーを溜めて、グリスや汚れを洗い流します。プラスチック製の容器だと、溶けてしまうものもあるので注意です。シールドやスナップリングは簡単にキレイになりますが、本体は何度も洗浄する必要があります。
本体の洗浄の手順
1.しばらく浸け置きする
軽く揺らして本体内部の空気を追い出したあと、しばらく置いておきます。
2.円をかくように瓶を動かす
机の上に円をかくように動かし、ダメージを与えないよう洗います。シャカシャカ振って洗う人もいるようですが、私はやさしく洗うようにしています。
3.取り出して少し回転させる
回転させることで、グリスや汚れを落としやすくする。
4.円をかくように瓶を動かす
再び瓶に入れて洗う。
5.取り出してエアダスターで吹き飛ばす
キッチンペーパーの上に取り出し、汚れを含んだ水分を吸わせたあと、まだ残ってる水分をエアダスターで吹き飛ばす。
6.パーツクリーナーを新しくして2の作業に戻る
パーツクリーナーに汚れが出てこなくなるまで繰り返します。目安は3回ほど。
汚れたパーツクリーナーの捨て方
しばらく屋外に放置すると、蒸発して量が少なくなります。それを紙に吸わせてビニール袋に入れ、燃えるゴミとして捨てます。(自治体によっては捨てられない場合もあります。要確認。)
乾燥
エアダスターで水分を飛ばします。
回転のチェック
ベアリングを回してみて、異常がないか確認します。他のものより明らかに回らないとかがあれば、そのベアリングだけ再び洗浄作業を行います。いくら洗浄してもダメな場合は、不良・寿命だと判断して使うのをあきらめます。
グリスを入れる
オイルで使用する場合は、この作業は飛ばします。
グリスは爪楊枝などで取って詰めていきます。
シールドを取り付ける
シールドの付け方は簡単。
シールドをのせ、スナップリングをはめこんで止めるだけです。
シールドを取り付けたあと回転しなくなった場合
洗浄した時点ではよく回っていたのに、シールドを付けたら回らなくなった。そんな時はシールドを裏表逆に取り付けた可能性があります。
上の写真には2つのシールドが写っています。右のは上に盛り上がっており、左のは下に凹んでいるように見えます。これは表と裏に置いているからです。
正解 …上に盛り上がっている(右)
上に盛り上がっているように取り付けるのが正解です。下に凹んだように付けると、内部に干渉して回転を妨げてしまいます。